![]() |
ここ数年で予防接種の種類が増え、どのように予定を立てればよいのか迷っておられる方も多いと思います。生後2カ月になったら、ヒブ、肺炎球菌ワクチン(プレベナー)、B型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチンを開始し、3か月からは4種混合ワクチンが必要になります。1回1種類のワクチン接種では頻回に医療機関を受診することになり、母子ともに負担が重くなります。
当院では、ロタワクチン以外に3本の同時接種を勧めています。予防接種はできるだけ早い段階で接種をおこなうことで、乳児の重症感染症を防ぐことができます。赤ちゃんに一度に3本も注射をするのはかわいそうと考えるかもしれませんが、赤ちゃんの命を守るためには、必要なことなのです。同時接種によって副反応が強くなることはありません。 10年以上にわたる海外での成果をみれば恐れる必要はありません。 赤ちゃんを早い段階から重症感染症から守ってあげましょう。 |
![]() |
![]() |
定期接種ワクチン
(接種費用は無料) 、BCG、麻疹風疹2種混合ワクチン、日本脳炎ワクチン、ジフテリア破傷風2種混合ワクチン、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチン、ポリオ不活化ワクチン、4種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオワクチン)、水痘ワクチン B型肝炎ワクチンは、日本においてはB型肝炎保因者の母親から生まれた乳児に対しては公費でワクチン接種が行なわれてきましたが、最近ではすべての乳児にワクチン接種をする流れになっています。以前は、感染者の血液に接触することにより感染し、日常生活では感染することは稀といわれてきましたが、最近では、汗や唾液などでも感染する可能性が指摘されています。とくに、乳幼児期に感染すると保因者になる確率が高くなり、将来の肝硬変ー肝がんが発症するリスクが高まります。ほとんどの先進国では、生後2カ月から、B型肝炎の予防接種を実施しています。平成28年10月からは、1歳未満の乳児に対して、定期予防接種として認可されました。家族や同居者にB型肝炎の保因者がいる場合 出生直後からの早めの接種が可能です。かかりつけの医療機関に問合せしてください。
予防接種に関しては、後進国といわれてきた日本ですが、ようやく先進国並みに予防接種が整いつつあります。ただ、他国と異なり自費接種しなくてはならないものがまだまだ存在します。子どもたちの予防接種に経済格差があってはならないと思います。子どもたちの健康を国が守るのは当然のことでしょう。少子化対策に本腰を入れていただき、全員が必要な予防接種を受けることができるようになってほしいものです。
百日咳予防の最近の知見 ワクチン接種のおかげで百日咳にかかる乳幼児は減少しているのですが、最近では 学童以上の百日咳発症が報告されています。乳幼児時期に接種したワクチンの抗体価が低下し、学童から大人まで百日咳に感染し、ワクチン未接種の2カ月以内の乳児に感染するという家族内感染が散見されるようになっています。乳児が感染すると、非常に重篤になり 生命にかかわります。その対策としては百日咳ワクチンの再接種が唯一ののものです。ただ、百日咳単独のワクチンはないため、三種混合ワクチンの接種を就学前や12歳ころに追加接種することが必要となるでしょう。今のところ自費での接種となりますがワクチン未接種の乳児への感染を防ぐためには躊躇している場合ではないのではと思います。一日でも早く定期接種に組み込まれることを期待したいものです。 ポリオワクチンの追加接種 日本ではポリオの発症は報告されていませんが、現在の四種混合ワクチン4回接種のみではポリオの抗体価が低下してくることが報告されています。就学前にポリオワクチンの追加接種が必要との専門家からの提言が示されています。このワクチンも自費となります。 三種混合ワクチン同様、定期接種に組み込まれることを願います。 |
![]() |